30年前の日本と世界

カレールウ逆襲、5年ぶりに新製品

 1994年5月31日、エスビー食品はカレーの固形ルウの新製品を5年ぶりに売り出すと公表した。温めてすぐ食べられるレトルトカレーがが急成長し、毎年たくさんの新製品が投入されるため、最大手のハウス食品を含めて、この5年間は新製品が出ていなかった。エスビー食品は「家族そろって自宅で夕食を取る”内食”が広がり、固形ルウが増える兆しが見られる」としており、新製品でさらに活性化を図るという。

いま◆  カレー業界の最新の(といっても2016年度)資料によると、日本で生産されるカレー粉からの推計で、年間約100億食。このうち、レトルトカレーが7.7億食、固形カレールウは30億食程度と見られる。一人が年間79回食べている計算だ。

カレールウ逆襲、5年ぶりに新製品」への1件のフィードバック

  • 1993年、タイ米 を食べた
    今から31年前の1993年にはコメ不足が起こり、“平成の米騒動”とまで言われた。
    米屋やスーパーの店頭はコメを求める人でごった返した。ラニーニャ現象による80年ぶりの大冷夏と、梅雨前線が長期間にわたって停滞したことによる日照不足のために、米が生育しなかったからだ。この年の水稲の収穫量は、前年の74.1%。また、米の作況指数【=米の出来具合。良が106以上、不良が94以下】が74と「とんでもない不良」だった。量も質も最低状態。加えて米の在庫量も23万tと少なかった。政府は米の安定供給と価格高騰を防ぐために、海外から約259万tの米を緊急輸入した。日本で普通に食べられているうるち米を輸出できる国が見つからず、うるち米以外の米を輸入せざるを得なかった。まず、93年11月にタイ米が輸入された。しかし、それだけでは量が足りず、94年には中国、アメリカ、オーストラリアなどからも輸入した。
    タイ米を、うるち米を炊くように炊いてみた。まずかった。そこで水を減らし、かたい目に炊いてカレールーをかけて食べてみた。すこしましだった。
    ♬ All the leaves are brown  And the sky is gray~~
    ママス&パパス「夢のカリフォルニア」でも歌いながらタイ米の後、カリフォルニア米を食ってやろうかと思ったが、うまくないという評判を耳にし、やめにした。
    美食家とはほど遠い私だが、口がうるち米に馴致しているのにおどろいた。緊急輸入(=2国間の商取引)とはいえ、タイ米を生産し、輸出を承諾してくれたタイの人たちに感謝だ。この“平成の米騒動”を体験した私には、現下のテレビの大食い番組などには呪いの言葉しかない。
    日本の食料自給率は、戦後からずっと低下しており、現在はカロリーベースで38%(世界53位)、生産額ベースで58%(世界29位)。
    *カロリーベースとは、国民ひとりあたりの1日の摂取カロリーのうち、国産品が占める割合を計算したもの。米、小麦、油脂類の影響が大きい。 一方、生産額ベースとは、経済的な価値に着目して金額に換算する方法で、国民に供給される食料の生産額に対する国内生産の割合。単価の高い畜産物や野菜、魚介類の影響が大きい。
    農林水産省によると、日本の食料自給率が低い理由は、食糧安全保障の脆弱化、農業・農村の衰退、食文化の多様化(コメを食わなくなった)などの問題が絡み合っているため。
    一例として、食料安全保障の強化という問題をとってみる。ロシアはリン、カリウムといった化学肥料の大生産国だ。ロシアへの経済制裁のため欧米諸国、日本にもそれが入ってこない、また入ってきても価格が高い。肥料がなければ農業はできない。肥料だけでなく、外から食料が入ってこない状態にある。コロナ以降、食料の輸出に規制をかけ自国優先にしている国が20か国以上になっている。30%程度の自給率しかない日本の食料安全保障をどうするか、エネルギー政策を含め真剣に考える時だ。つまり、アメリカや西側諸国の顔色を窺って安全保障を考えるのではなく、したたかに距離をとりながら各国との外交を展開することが喫緊の課題だ。

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